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始まり

 

 

物語は繰り返される

この世の終わり
全ての終わり。
世界の果て、見えるのは瓦礫。死体。煙。
破壊者は止まらない。止めない限り、永遠に破壊を続ける。
英雄なんていない。必要ない。止められれば誰もが英雄になれる。
死を受け入れず必死に戦う存在がここにはたくさんいた。まだ希望を失っていなかったから。
死を受け入れる存在がここにはたくさんいる。希望を失ったから。
賢者なんていない。もう生きてはいないから。
止められるはずがない、あんな化物に勝てるのは、同じ化物だけかもしれない。


死んだ目に涙を浮かばせ仰向けに倒れている自分がいる。
空は真っ黒だ。たくさんに煙が空を覆いやがて真っ黒な雲になっていた。雨が降りそうだった。
なぜ死ななかったのか。なぜ死なせてくれなかったのか。
なぜ生きているのか。なぜ生かしてくれたのか。

破壊者はなおも破壊を続ける。破壊するものが無くならない限り破壊をやめない。どんどん破壊を続けている。
ここにはもう誰もいない。いるはずがない。いたら笑っている。笑ってやる。そう思っていた。
だが笑う力も残っていない。動く力も残っていない。ただ死を待つだけだった。

少し眠たくなり目を閉じようとした瞬間、誰かが来た気がした。こんな世界にまだ立って歩ける人がいるんだなと思い、目を開ける。
足音が止まる。それはじっと私を見つめていた。
ボロボロになった服、汚れた服、炭で汚れた顔、綺麗に整った顔、サラサラしてそうなストレートな髪も炭で汚れている。


「今度は失敗しないから…」
そう言っていた気がした。聞いたことのある声だと思った。


「…もう…失敗しないから…今は………」
それ以上は聞こえなかった。聞き取れなかった。聴覚が麻痺しかけていた。
だがそれでも必死に聞こうとした。薄れゆく意識のなかで
声が震えていた。やがてそれは膝から崩れ落ち顔を両手で覆い隠し肩を小刻みに揺らし始める。

こんな何もない荒れ果てた大地でこんな見ず知らずのはずの私の前で
それは・・・・

いや・・・
“彼女”は、泣いていた。

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